Stap 11: 発想の転換とサーボ的な運用
ステップ8では、Arduinoを使った2軸のブラシレス・ジンバルの工作の記事を紹介しました。 この工作は、webで公開されているプログラム (スケッチ) を使っています。 ただしその動作は、この記事の著者も認めているように十分ではありません。
また前ステップでは、同じスケッチを模倣して1軸のブラシレス・ジンバルを試作しました。 しかし、思いつく限りの改善を加えても、やはり十分な動作を得ることができませんでした。
実際、オリジナルのスケッチに関するeLABZの記事によると、「この回路は回転負荷が極めて軽い工作用であり、ホール・センサ(磁気センサ) のないモータでは正確な制御ができない」 (抄訳) との但し書きがあります。
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万策尽きて試作機の動作を悄然と見ても、やはり何とも言えぬ頼りなげな様子です。 実用化は困難と諦めかけた時、ふと、モータを円滑に回すのではなく、むしろ強力に止めることが重要なのでは、という考えが頭をよぎりました。
そこで、ブラシレス・モータを単純化したモデルを描き、任意の角度で停止力が最大になる運用を計算してみました(*1) 。 そしてこれを基に全く新たなプログラムを用意したところ、これまでとは比べ物にならない強さの停止状態を確認できました(*2) 。 さらにそこから、与える停止角度を少し変えてみたところ、指示した角度に直ちに回転して再び力強く停止しました。
(* 1) 三相ブラシレス・モータの基本は、主に飯島さんの解説記事で勉強しました。 これによると、モータの結線には幾つか流儀があるようです。 ちなみに今回使ったモータはY結線(Star Style)です(※:当初はデルタ結線と勘違いしていました。 英語版への指摘を受けて調べたところ、Y結線であることが分かりました)
(* 2) 飯島さんの解説記事に基づいて計算したところ、何故かモータにパワーが生じませんでした。 不思議に思って調べたところ、次の資料を見つけて解決しました(※:この資料はデルタ結線ですが、コイルの配置は使用したモータと同一です) 。 Y結線、デルタ結線ともにいろいろあるようです。
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これにより、ブラシレス・モータをサーボ的に運用できる可能性が急に開けました。 試しにジャイロを繋いで動作を確認したところ、サーボ・モータを超えるパフォーマンスを期待できそうなことが分かりました。 (開発動画(9)参照)
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■開発動画 (9): ブラシレス・モータのサーボ的な運用