Stap 12: 1軸ブラシレス・ジンバルの実用化
前ステップで考案した新たな運用方法により、Arduinoを使ったブラシレス・ジンバルの実用化が視野に入ってきました。 これは、ブラシレス・モータをサーボ的に運用するものです。
この場合、ジャイロはジンバルのベース側(手元側)に取り付けることができます。 そこで早速、1軸ジンバルの上部マウントにカメラを載せて、そのパフォーマンスを確認してみました。 (開発動画(10)参照)
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■開発動画 (10): 独自プログラムによる初めての1軸ブラシレス・ジンバル
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上の動画を見て分かるように、動きに少し粗い所は見られるものの、補正の追随性はステップ6で試したサーボ・ジンバルを明らかに上回ります (開発動画(4)との比較)。 さらに、パラメータの調整も含めて改善の余地はまだ十分あります。
そこで動作の詳細を知るため、カメラ側(マウント側)にもジャイロを付けて、ベース側とカメラ側の動きを同時に計測してみました。 これにより、次の3つの問題が残っていることが分かりました。
- 補正の開始と終わりに若干の遅れ (タイム・ラグ) がある
- 補正の開始と終わりに減衰する振動 (schudden) が生じている
- 補正の前後でマウントの角度にズレが生じている (バイアスの発生)
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この内、2番目の問題は、新たにカメラ側に付けたジャイロの情報の利用すれば、標準的なPD制御で解決できそうです。 3番目の問題も、制御の係数を変えたり、新たなジャイロの情報を使えばなんとかなりそうです。 そこで、カメラ側のジャイロの計測値も利用するようにプログラムを修正してその効果を試してみました。 (開発動画(11)参照)
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■開発動画(11):独自プログラムによる1軸ブラシレス・ジンバルの改良(ジャイロを追加)
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上の動画を見ると、カメラ側に追加したジャイロの情報を用いることで、上に挙げた3つ問題を大幅に抑制できることが分かります。
さらに改善の余地を探るため、モータ駆動用の電池を4本 (5 ~ 6V) から8本 (10 ~ 12V) に増やし、このモータの推奨電圧(11 ~ 15V) での動作を確認しました。 (開発動画(12)参照)
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■開発動画(12):独自プログラムによる1軸ブラシレス・ジンバルの改良(推奨電圧使用)
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上の動画を見ると、モータに加える電圧を推奨レベルに引き上げることで、補正の開始と終了の追随を改善できることが分かります。 この結果を見て、1軸のテスト段階を終了し、実用的な2軸ブラシレス・ジンバルの開発に移ることにしました。