Stap 2: ポイント 「ジャイロの取り付け場所」
モノの動きは「回転」と「移動(平行移動)」に分けられます。 この内、回転を防ぐ装置は「ジンバル(gimbal)」と呼ばれます。 ここで開発するのはカメラの回転を防ぐ装置です。 そこで重要なのが、カメラの向き、すなわち「角度」の評価です。
角度の評価方法はいくつかありますが、ここでは安価なジャイロを使用します。 具体的にはジャイロで角速度を計測し、これをArduinoで積算して角度を評価します。 この場合、ジャイロの取り付け場所は大きく2つに分けられます。
(1)カメラ側(マウント側)
(2)持ち手側(ハンドル側)
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両者の主な違いは、意図的な制御 (モータの動き) のフィードバックの有無です。 ジャイロを(1) カメラ側に取り付けると、外から加わる動きと意図的なモータの動きが一緒になり、その合計値を計測します。 これに対し、(2) 持ち手側にジャイロを付けると、外から加わる動きは計測できますが、意図的なモータの動きは計測できません。 このため次のような長短が生じます。
(1) ジャイロをカメラ側(マウント側)に取り付ける
- 制御方法:カメラが少しでも回転すると、その動きを打ち消すまでモータを逆に回す
- 長所:正確な角度評価は不要・・・モータの回転角度を知る必要はない
- 短所:モータを上手く制御しないと振動が生じる
(2) ジャイロを持ち手側(ハンドル側)に取り付ける
- 制御方法:持ち手の回転角度を評価して、逆方向に同じ角度だけモータを回す
- 長所:フィードバックがないので振動が生じない
- 短所:正確な角度評価が必要・・・ハンドルとモータの回転角度をそれぞれ正確に知る必要がある
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こうした違いは、使用するモータの選択にも影響を与えます。 ジャイロを(2) 持ち手側に付ける場合、持ち手 (ハンドル) とモータの回転角度をそれぞれ正確に評価する必要があります。 このため、サーボ・モータやステッピング・モータのように、角度を直接制御できるモータが向いているように思えます。
これに対し、ジャイロを(1) カメラ側に付ける場合、持ち手 (ハンドル) の回転とモータの回転を合わせたカメラ (マウント) の回転を抑えればよいので、正確な角度評価は必ずしも必要ではありません。 そうなると、簡素で安価なブラシ付きモータの利用も視野に入ります。
こうして見ると、要求される角度評価のレベル、およびモータ選択の自由度の双方で、(1) カメラ側にジャイロを付ける方に利があるように見えます。