Stap 6: 1軸サーボ・ジンバルの試験開発(2)
サーボ・モータを使う場合、ジャイロを (1) カメラ側に取り付けるのは得策でないことが分かりました。 このため、ジャイロを (2) ハンドル側に取り付けて、改めて動作を確認しました。 その結果、次のことが分かりました。
- サーボ・モータは加減速が苦手
- 特に回転を止める時の減速ペースが遅い
サーボ・モータの加減速のペース変更は困難
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上のグラフは、指定する回転角度を変えて(8~60度) 、回転開始から回転終了までの「角速度」の推移を見たものです。 横軸が経過時間、縦軸が角速度を表します。 この図で推移線の傾きを見ると、回転開始と回転終了の「角加速度」を評価できます。 その結果次のことが分かります。
- 回転開始から角速度の最大値に到る角加速度はほぼ一定
- これに対し、回転終了時の減速ペースは段階的に低下する
- この結果、角速度の最高値から停止までの所要時間は、加速時の2 ~ 3倍を要する
指定角度が15度以下だと、角速度の最大値に到ることなく減速する
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上記の最初の3点は、サーボ・モータが停止の動作を「慎重に」行っていることを意味します。 そして最後の点は、不規則な姿勢の変化に素早く対応できないこと、およびサーボ・モータの性能を表す代表的な指標(定常回転の角速度=角速度の最大値) が役に立たないことを意味します。
サーボ・モータが停止動作を慎重に行うのは、振動のリスクを極力抑えるためだと考えられます。 しかし、この慎重な動きはジンバルに必要な素早い動きを損ないます。 下記の開発動画(3)を見ると、回転開始の遅れとともに、回転終了時における減速ペースの低減を確認できます。
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■開発動画 (3): サーボ・モータの追随性の確認
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不規則な動きを補正するカメラ用ジンバルに求められるのは、回転速度の最大値もさることながら、回転開始と終了の加減速の良さです。 この点サーボ・モータは、振動のリスクを抑えるため、この加減速の性能を犠牲にしていると言えます。 その程度はモータによって異なりますが、いくつか異なるサーボ・モータを試しても満足できる効果は得られませんでした。 (開発動画(4)参照)
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■開発動画(4):1軸サーボ・ジンバルのパフォーマンス(軽量高速サーボを使用)